通院の記録


メガバクテリア症 9
   
- 先生、ありがとう -


ボクは本当に
そんなに大変な
病気だったんですね!
 

ボクたち、もう元には戻れないのかな?



2007年3月17日(土) 9回目の診察


4箇月間、担当していただいた先生に診ていただく最後の日。チェリーも一緒に連れて行った。何事もなければ、これで終了するはずだ。

病気が治ったといっても、何もかもが中途半端な気がして、このままでは終わらせたくないという気持ちであった。今回の件に関して、最後にきちんと総括してほしかったし、過酷な治療を耐えてくれたヤッピーのためにも、何か得るものがほしかった。せっかくなので、集計した食餌量データも提出した。




真相は?

獣医さんとのやり取りの主要な部分をを以下にまとめてみた。

疑問その1 皮付き餌に付いている酵母が原因であったのか?
餌に付いている普通の酵母であったと仮定して、それが常に取り込まれている状態であったとしても、あれだけの投薬をすれば消えるはずである。また、酵母を持っている個体でも、通常は胞子の状態であり、あれほどニョキニョキ伸びてくるということはない。

疑問その2 では、メガバクテリアであった可能性は否定できないのか?
可能性はある。しかし逆に、今までメガバクテリアだと思って治療していた文鳥の中にはメガバクテリアではなかったケースがあったのかもしれない。

疑問その3 メガバクテリアであったと仮定すると、ヤッピーは初めから感染していたという事になるが、3歳にもなって初めて見つかるという事は考えられるのか?
セキセイインコなら、この年齢であれば胃ガンとか何か、もう大変なことになっているはずだ。種によって違いがあるという事だろう。



獣医さんによれば、今回、餌をペレットに変えたという話を聞かなければ、単純に“治療してメガバクテリアが治った”と思ったはずだという。これほど簡単に餌の切り替えができるケースはないので、「じゃあ、餌、変えてみましょうか」とは言えないのだそうだ。

「餌が原因だったのかどうか」と最初に聞いたとき、先生は冗談めかして、
「でも、もう一度皮付き餌に戻して試してみる気はないでしょ?」と言われた。
やっぱり、そう思うよね・・・と思った。実は私も、ちょっとだけ考えた。もう一度皮付き餌に戻してみたら、分かるかも・・・と。でも、もうこれで十分だ。




診 断

幸い、ヤッピーもチェリーもフンには何の問題もなかった。
体重はヤッピー27g、チェリー30g。チェリーはちょっと太めで脂肪もやっぱり残っているけれど、“この程度なら問題ありません”との事だ。

チェリーの診察後、取り置いてあったペレットを餌入れに入れてやった。チェリーは、やればやっただけ一気食いするようになってしまったので、私が家にいられるときには、なるべく分割して与えるようにしていた。

「おっ、そんなサービスが・・・」と先生はにこやかに見ておられたが、しばらくして、
「わーっ、粉まで食べてるーっ!」と苦笑された。

チェリーはいつも残りかす1つないくらい、なめたように食べつくしてしまう。さらには空の餌入れをじっと見つめていたかと思うと、こぼれた餌がないかと餌入れの下や隙間を目を皿のようにして探し回る。そんな光景を毎日見ている飼い主の切なさを獣医さんはご存知であろうか?とも思う。(理解してくれとは言わないけれど・・・)

「また、同居させてみたら・・・?」と先生。
「いえ、流血沙汰になりそうなので、やめときます。餌を見るとケンカになっちゃう・・・餌がなけりゃ、仲良しなんですけどねぇ。」と答える。
チェリーの食餌制限が続く限り、同居はもう無理だろう。




食餌の事

餌の事についても相談した。
チェリーはいつもすきっ腹をかかえて可哀想だ。ヤッピーも急に食べる量が増えてきている。低カロリーで、もうちょっと量を食べても大丈夫なペレットはないものか聞いてみた。ことに、チェリーの場合、味とか質よりもとにかく、“たくさん食べたい”この思いに尽きるのだ。

「ダイエットされた方はみなさん、そうおっしゃるんですよ。でも、フィンチが食べられるサイズの低脂肪のペレットは、ラウディブッシュくらいしかないんですが、文鳥さんの中にはラウディブッシュはお腹に合わない子がいます。低脂肪だと、今度は高タンパクになってしまって、タンパク質は腎臓に負担になりますから・・・。」

フィンチ用の低脂肪食は、ちょうどいいものはないという事だ。まあ、世の中そんなにうまい話はないか・・・と思う。人間だったら、寒天だのこんにゃくだのと、ダイエット食はたくさんあるのになあ、とため息をつきたくなる。


市販のペレットの中では、ズプリーム(現在食べているもの)が最も低脂肪であるが、他にも与えるとしたらどんなものが良いかという事も聞いてみた。
「脂肪だけではなくて、炭水化物も消費されない分がどんどん脂肪として蓄積されていきますから、脂肪分ばかりを気にする必要はありません。まあ、4%以内の差であれば、かまいません。」という事だ。
ハリソンとケイティのサンプルを出してもらえることになった。

「ペレットには、単一食になるというデメリットもあります。」と先生がおっしゃるので、
「実は、それが一番気になっていることで、1つのものしか食べないという事は非常に危険なことではないかと思うんです。もし、今回の件が皮付き餌に原因があるとしたら、皮付き餌にだって同じ事が言えるのでしょうけれど・・・。」と答えた。
「ペレットを食べ続ける事の害はまだ分かっていませんし、将来、ペレットが否定される日が来るかもしれません。そういう疑問はずっと持ち続けてください。」と先生。

しかし、今回ヤッピーを救ったのは、日ごろからペレットも食べさせていた事に他ならない。何でも食べられるようにしておく事の重要性を思い知らされた。ペレットしか食べられなくなってしまったなら、せめて、何種類か組み合わせて食べさせておいた方がリスクは分散されるはずだ。
エンリッチメントなどより、“安全性”という事の方がよほど気になるのだ。


皮付き餌について、“オゾン殺菌”をうたった製品もあるが、そういうものに変えた方が良いのかという事も聞いてみた。餌に付いていた酵母が原因だったとするなら、今もって皮付き餌ばっかりを食べているオカメインコの事も気になった。
「あまり余計な事をしたり、余計なものが入っていたりしない方がいいです。何かコーティングされていたり、フルーツがミックスされていたりするのは良くないです。普通のもので十分です。」という事だ。
今、オカメインコに与えている皮付き餌はそのまま継続してもよさそうだ。


前回の健診のとき、それまで与えていた餌について、“そのシリーズの餌はどれも強すぎるのでお勧めしません”と強く言われたので、その後違うメーカーの皮付き餌に変えていた。当然、その餌にも疑惑の目が向く。
「そんな事は考えたくないけど、メーカーによってこういう事が起こるというのはあり得るでしょうか? どのメーカーだって、粟は粟だし、稗は稗だよって思っていたのだけれど・・・」とも聞いてみたが、
「メーカーによる差は産地の違いくらいではないでしょうか・・・。このような穀類は殆どが輸入ですから、どのメーカーのものでも輸入品だと思います。中国産であるとか、その程度の違いだと思います。」
獣医さんは皮付き餌の危険性には懸念を持っていないようで、良かった。もし、そんな事があるとするなら、大変だ。


「青菜は食べてますか?」と聞かれた。
「毎日あげていますけど、別居させてから、そしてペレットに切り替えてからは、あまり食べなくなりました。前は、競争して食べてたのが、今ははしっこをちょっとかじるくらいですね。」と答えた。
「何事も競争社会ですかね・・・」と先生。


腹ペコチェリーちゃんのためにアドバイスもいただいた。
「餌を隠すという方法もあるんですよ。自然界では餌なんて置いてありませんからね。努力して見つけるように隠してやるのも手ですよ。」と。
うーん、一理ある。しかし、お世話する方としては、ちょっと厄介だ。意図的に隠している訳ではないが、放鳥タイムのおやつがなかなか出てこないと、似たような状況になる。そうすると、彼らは探検隊よろしく隙間と言う隙間に入り込み、こぼれた餌がないか物色してまわるのだ。お掃除が苦手な私としては、非常に頭が痛い。鳥かごの掃除は毎日できても、部屋の掃除にはてんで手が回らない。後であげようと、上に紙をかぶせて隠してあった餌を掘り当てられることもある。紙の下からシッポだけ出して、がっついている姿は、まことにあさましい。
この上、さらにやるか?




最後に

うちにはオカメインコも含めて3羽の鳥がいて、同じ餌を食べ同じように暮らしていた。皮付き餌を一番たくさん食べていたのはオカメインコだし、牧草集めや拾い食いをするのは圧倒的にチェリーの方が多い。ヤッピーは用心深い性格だから、便乗してお付き合いでやっている程度だ。オカメインコにいたっては、牧草を噛み砕いて遊んでいる。それなのに、どうしてヤッピーだけがこんな事になってしまったのかと、獣医さんに疑問をぶつけてみるが、真相は分からない。
前の年、ヤッピーの調子があまり良くなかった事との因果関係も不明だ。

最後まで分からない事だらけではあったが、獣医さんと話しをしていて確信した。原因が何であれ、ヤッピーは決して放置してよい状態ではなかった。治療を受けさせて正解であった。
私たちは勝ったんだと思った。2羽と2人で力を合わせて、この良い結果を勝ち取ったのだと思った。
ヤッピーが治ったのは、偶然の事であったが、何もないところに偶然は起こりえない。いろいろな積み重ねがあってこその結果であった。

小鳥が病気になったら、諦めるしかないのかと、今まで随分つらい思いをしてきた。今まで助けてやれなかった鳥たちの顔が思い浮かぶ。その鳥たちにもお礼が言いたかった。“ヤッピーは君たちの分も生きるからね”と。
ヤッピーに、天から新しい命を授かったのだと思った。ヤッピーはあらゆる意味で“特別な子”だ。大切にしなくてはと思う。

再発の危険性がないわけではない。再発すれば、そのときにはもう打つ手がないのではないかとも思う。しかし、今それを考えても仕方がない。
「半年ごとに必ず健康診断を受けてください」と先生は念押しされた。

担当していただいた獣医さんには、いくら感謝してもしきれない。本当に熱心に診ていただいた。
あーでもない、こーでもないと、こうるさい飼い主であったが、長い時間を割いてつき合ってくださった。終始、ヤッピーに愛情を持って接し、ヤッピーの良き理解者であってくださった。


「健やかにお過ごしくださいますよう、お祈りいたします。」とお言葉をいただいた。

お礼を言うと、
「私は、お手伝いさせていただいただけですから。」と、カッコイイ事をおっしゃる。

このセリフを言えるときが、獣医さんにとっても一番嬉しいときなのであろう。

次の病院での先生のご活躍を心から願う。






どれがおいしいかな?




ハリソン(マッシュ)にはまる




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